もしも雪崩に仲間が巻き込まれてしまったら?

十分に注意して、雪崩に遭遇しないようにすることが大前提ですが、万が一、仲間が雪崩に巻き込まれて、雪の中に埋まってしまった場合、救出までに残された時間は15分しかありません。

15分以内に救出できた場合、生存率は高いですが、それ以上時間が過ぎてしまうと、酸素不足による窒息、雪の低温による低体温症により生存は非常に難しくなります。

雪崩の遭難者を救出するときに役立つ道具があります。

1、雪崩ビーコン
2、ゾンデ棒
3、スコップ

1、雪崩ビーコンとは、手のひらサイズの電波発信機です。
スイッチで電波送信と受信に切り替えることができます。

これを一人一台、常に持って行動し、電波を送信にしておきます。

遭難者が出た場合、電波を受信に切り替え、埋まった人の電波を探します。

電波の強くなる方向に進めば、ある程度遭難者の位置を特定できます。

2、ゾンデ棒とは、組み立て式の2~3メートルの棒です。
ビーコンである程度場所を特定した後、遭難者の埋まっている位置を特定するために使います。
ビーコンがない場合に、遭難者を探すためにも使えます。

このゾンデ棒を雪面に突き刺しながら、遭難者を探します。

3、スコップ
遭難者を掘り出すときに使います。
一人一台持っておきたいです。


●救出した後
遭難者を発見して、掘り出すときには、まず呼吸の確保のため顔を掘り出します。

しかし、体を掘り出すときには、体を覆っている雪を取り除いてはいけません。
雪を取り除くと寒い外気に急激にさらすことになり危険です。

体の雪を取り除くときは、ツェルトなどで体を覆って外気に触れないようにしてから慎重に取り除きます。

慎重に安全で暖かい場所に移動します。

雪の中に埋まっていた遭難者は、低体温症になっている可能性があります。
低体温症が疑われるときは、急激に暖めてはいけません。

足元からゆっくりとシュラフやツェルトに入れていく、救出者が背中から介添えして暖めるなどゆっくりと暖めていきます。

意識があるときは、甘く暖かい飲み物を少しずつ飲ませてあげましょう。

また、低体温症は回復までに2~3時間はかかります。

回復したように見えても2~3時間は介抱し続けましょう。


雪崩の遭難者の救出や、介抱はその場になって、いきなりできるものではありません。

事前にしっかりと勉強したり、場合によっては講習会に参加するなどして、いざというときにしっかりと対応できるようにしておきたいものです。