仲間が低体温症になったら?
いちど、低体温症になってしまうと自力での回復は困難です。
初期症状のうちに適切な処置することが重要です。
●治療の基本
まず、救援を要請しましょう。
風雪を避けられる暖かい場所を確保しましょう。
ゆっくりと患者を暖めましょう。(足元からゆっくりとシュラフに入れるなど。)
●初期症状の場合の処置
まずは、暖かい場所に移動することです。
山小屋があればベストですが、なければテント、最低でも雪洞、ツェルト&シュラフで、なんとか暖かい場所を確保しましょう。
下山できるようであれば下山がもちろんベストです。
暖かい場所を確保してから、服が濡れているのであれば、服を暖かい乾いたものに取り替えます。
そして、とにかく暖めます。
シュラフや毛布で覆ってあげたり、甘く温かい飲みもの(砂糖を入れた紅茶など)を少しずつ飲ませてあげたり、湯たんぽやカイロで温めたりします。
アルコールは体温を低下させるため厳禁です。
症状が回復してきても、すぐに行動をせず、最低でも2時間は治療を続けましょう。
●中度の場合の処置
この場合は急激に暖めるのはだめです。
急激に暖めると、冷たい血液が心臓に戻り、ショック死を起こす場合もあります。
また、冷たい血液と暖かい血液が混ざるのも危険です。
ちょっとした刺激でも危険ですので、患者の体は丁寧に扱いましょう。
できるだけ体は動かさないようにして、マッサージなどもしてはいけません。
できるだけゆっくりと丁寧に暖めていきましょう。
●重症の場合の処置
この場合も急激な加温は絶対にやめましょう。
呼吸がない、または少ない場合は、ゆっくりと少しずつ人工呼吸をします。
心拍がない場合は心臓マッサージをします。
重度の低体温症の患者は、心拍があっても1分に1~2回など非常に少ないです。
1分くらい脈をはかりつづけ、脈が戻るまで心臓マッサージを続けましょう。
通常、心停止して5分以上脳に血液が流れなければ、脳は死に始めますが、低体温症の場合、脳や内臓などの活動が低下しているため、酸素需要も非常に低下しています。
ですので、適切な治療をし、回復しさえすれば、後遺症もなく、生存できる可能性は大きいです。
心停止してもあきらめずに病院に搬送されるまで治療を続けましょう。